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〈愛好者 Amatorat 〉をめぐって
モバイル環境による「クリティカル・スペースの創出」の試み
※本シンポジウムにおけるベルナール・スティグレール氏の基調講演と質疑応答の一部が、季刊『インターコミュニケーション』2007年autumn号に掲載されました。
(監修=石田英敬 訳・解説=東京大学情報学環石田研究室)
日時:07年7月11日(水)13:00〜
会場:東京大学教養学部 18号館 ホール >> 学内地図
東京都目黒区駒場3-8-1 >> アクセス
入場無料、事前予約不要
使用言語:日本語、フランス語(同時通訳あり)
■ パネリスト
ベルナール・スティグレール(ポンピドゥーセンター研究開発部長)
藤幡正樹(東京藝術大学教授・大学院映像研究科長)
石田英敬(東京大学教授・大学院情報学環副学環長)ほか
■プログラム
第一部 13:00〜15:00
基調講演:amatorat とは何か( ベルナール・スティグレール)
ITを基盤とした「クリティカル・ディヴァイス」(ヴァンサン・ピュイグ副所長)
第二部 15:20〜17:30
共同討議:モバイルメディアを使った「クリティカル・スペースの創出」
(ベルナール・スティグレール×藤幡正樹×石田英敬)
■主旨
いまや私たちの生活世界の深部にまでモバイル機器が侵入し、私たちの時間と意識とを細部にいたるまでネットワークに結びつけている。今日の情報環境デザインの課題は、受動的な受け手=消費者の位置に追いやられがちな公衆(パブリック)を、積極的な文化創造の主体として復権させることにある。
私たちが注目するのは人間文化を支えてきた「愛好者(amateur)」の存在である。「愛好者」とは作品と固有な「愛好」の関係を取り結ぶ人のことだ。「愛好者」は他者の「作品」を自分の「環境」に組み込んで意味世界をつくりだす。愛好者が表しているのは、「批評」や「批判」、それを通した「公衆」や「公共性」の成立なのだ。
情報コミュニケーション技術を基盤として創造的な意味環境を作りだすためには、「愛好者」が復権し、人びとが自分たちの意味環境をつかって固有の意味世界をつくりだし、相互にコミュニケートしあい「公共空間」があたらしい「感性の分有」の空間として成立するのでなければならない。そのためには、テクノロジーに媒介された意味環境をとらえうる「批判の道具(appareils critiques)」が必要なのである。そして、デジタル・テクノロジーこそ、まさにそうした「認識」のための環境をつくることに適した技術なのである。
デジタル・メディアの指標技術を使って、感性のレヴェルから意味環境にアノテーションを加えていく。そのことによって美術館や映画館という「感性の分有」の空間が「批評空間」としても生み出されることになる。「批評」「批判」は、紙の上でのみ成立するのではもはやなく、「空間」そのものが文字通り「クリティカル・スペース(批評空間)」となる。そのような実験を考えてみることができる。
映画やテレビのリニアーな時間構造のなかでの受容経験を、ノンリニアーな形式で取り出し、作品を愛する「主体」の「受容」を可視化する。テクストベースで、文学作品を「引用」し「注釈」を加えるのと同じ操作を、アナログ・メディア以後のマルチ・メディア作品にも加えることができるようになる。そのことによって愛好者の見方を「共有」し「議論」する「批評空間」が生み出されることになる。
「記号の生」が、その微細なディテールにいたるまでネットの計算論的コミュニケーションの原理によって捕捉され、「主体」の「自由」が検索エンジンのようなテクノロジーによって統御され、人間の主体がその欲望の成立にいたるまで人工的な記号のネットワークのなかでコントロールされていく「管理社会」(ドゥルーズ)では、主体が自分自身で「指標」をコントロールすることができる技術こそが、主体の「自由」の幅を決めることになる。機械から送り込まれる記号の流れに身を任せて受動的な消費主体になるのではなく、意味環境の「反省的」な使用から、自己自身の「痕跡」を捉え直し、認識の俎上にのせ、そこを手がかりに「創造的な」意味世界の形成へと向かうこと、それこそが、人びとの「生」の「持続可能性」を確かなものにするのである。「モバイル」もまたそのような「文化」の「いま・ここ・わたし」のシフターとして、そうした痕跡=指標を辿り、ひとびとの「生」の創造的な軌跡へと導く「アリアドネーの糸」を辿るための「クリティカル・ツール」となることを求められているといえる。
情報技術の文化資本主義がもたらす「象徴的貧困」に警告しつつ「愛好者」の復権を説く、ポンピドゥーセンター研究開発部長で哲学者ベルナール・スティグレールが主宰するIRIによる「クリティカル・スペース創出の試み」を紹介しつつ、ポンピドゥーセンター主宰のFestival Pocket Filmsでケータイを使用したポケット・フィルム作品制作実験を発表したばかりのメディア・アーティスト藤幡正樹を交えて、ケータイ環境にもとづく批評と創造の可能性の地平について討論する。
■関連論文
・モバイル・メディアとクリティカル・スペース
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『Mobile Society Review 未来心理 Vol.009』(07年3月25日刊)所収
(同誌公式サイトにてpdfで論文全文をダウンロードできます)
■ 関連イベント
堀場国際会議「ユビキタス・メディア: アジアからのパラダイム創成」(公式HPへ)
>> 07年7月13日〜16日
問い合わせ先:東京大学 教養学部 石田英敬研究室(TEL 03-5454-4939)
主催 :ポンピドゥーセンター IRI(リサーチ&イノヴェーション研究所)、
東京大学大学院情報学環
後援
:株式会社NTTドコモ モバイル社会研究所
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シンポジウムポスターPDF

スティグレール氏近影
(05年の東大シンポジウムにて)
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